日本髪
日本髪( にほんがみ )
洋髪に対する和風の髪の総称。狭義には、江戸時代に入って、平安時代から行われていた垂髪の始末を考えるようになった結果生れた髪型、結髪。若衆歌舞伎の役者や遊女、湯女などが結いはじめたものが一般庶民に浸透し、やがては武家や京の公家にも採用されていったものと思われる。前髪、鬢 (びん)、髱 (たぼ)、髷 (まげ) の四要素から成るもので、髻 (もとどり) が根幹になっている。代表的なものに島田髷、丸髷、桃割れ、勝山髷、結綿 (ゆいわた) などがあるが、江戸時代には身分、年齢、職業、既婚、未婚、あるいは貧富の差などによって髪型も規制されていた。今日では特別の職業の人や、正月や結婚式などにみられる程度であるが、年齢、既婚、未婚、職業などによる区別はそのまま残されている。
日本に古くからある女性の髪形の総称。特に、明治以降の洋髪に対して、丸髷(まるまげ)・島田髷・桃割れ・銀杏返(いちょうがえ)しなどをいう。
明治時代、西洋風の風俗の一つとして洋髪が移入されたが、これを和服にも調和するようくふうし、日本髪と称した。鹿鳴館時代の夜会巻や、その後に流行する束髪が日本髪の代表的髪形であった。その影響で江戸時代以来の鬢(びん)、髱(たぼ)のある数多くの女髷(おんなまげ)は徐々にすたれ、それまで髷の形によって丸髷、島田髷、天神髷、桃割などと呼んでいたものをも、日本髪と総称するようになった。
わが国で古くから女性の間に行われた髪形の総称。その多くは元結(もとゆい)を使って髪を束ねて、前髪、鬢(びん)、髱(たぼ)をとり、それを集めて頭上に髷(まげ)をつくりあげるものである。元来女性は高貴の間では垂髪であったが、日常生活に不便なところから束ね髪となり、髷のある髪へと変わった。結い上げるための髪油も、蝋(ろう)分の多い鬢(びん)つけ油(あぶら)を用いたのは、ほつれを出さないくふうであり、髪飾りとしては最初、櫛(くし)、笄(こうがい)、簪(かんざし)に加えて、手絡(てがら)、根掛(ねが)け、丈長(たけなが)があり、さらに髱差し、鬢張りを用いて日本髪の美しさを表し、また頭上の髷を整えるためにかもじを利用した。日本髪の種類は、幕末から明治10年ごろまでだいたい280数種の髪形が、幼児から老女までに行われた。島田髷にしても10種以上がある。しかしながら、日本髪の不便、不経済、安眠ができないなどの欠点が露呈されて、1885年(明治18)大日本婦人結髪改良会の束髪が生まれ、さらに洋装の日常化および女性の職場進出などに伴って日本髪は衰退の一途をたどっている。
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