鈴木蔵の志野焼の作品を紹介します。
人間国宝、鈴木蔵の志野焼の作品です。高さ9.8cm×幅14.4cm、高台脇に「オ」と銘があります。彼の作品は、鮮やかに発色する赤みを得意とし、雄大で温かみのある 作風 が特徴です。この作品も情緒漂う味わいのある作品ですが、小品になりますので、価格はだいぶ低く取引されます。同じ作家の作品でも、小さい作品と、何日、何ヶ月もかけて作られた大きなサイズの力作とでは、価格は10倍、20倍と違ってくるのは当然のことかと思います。彼の作品では、静寂感のある白に重厚感ある鉄釉の赤が侘び寂びを表現しているような作品、鉄釉の発色が力強い志野焼 の作品が高価買取できる作品です。晩年の 全盛期 に作られた 上手 のお 茶碗 になりますと、この作品の2倍、3倍もの買取価格で取引される作品もあります。
陶芸 作品は、窯で火をくぐり完成される作品です。その色や形を探るのに何千回と窯に火を入れ、陶片を焼きます。窯 の周辺では多くの陶片が残され、作家が熱心に研究した跡が残る窯も多くあります。試行錯誤を繰り返し、たくさんの失敗を重ね、努力の末に、名品 が生まれてくるのですね。やはり、自身の納得の行く境地を確立させた晩年の作品には、熟練した深い味わいがあります。鈴木蔵も、父の助手となり、ガス窯による挑戦を続け、志野釉のテストは1万種類を超えたと言われています。伝統 から新たな可能性を追求した、新しい志野スタイルは、国内外から高く評価されています。大きなエネルギーに満ちた存在感のある発色が美しい、雄大な魅力あふれた 晩年 の作品は、高く評価させて頂きますので、是非ご相談頂ければと思います。（No.25）