岡部嶺男の得意とする茶碗です。
岡部嶺男は、昭和の後期に活躍した 陶芸家 です。窯 道具を製造する家に生まれ、幼少の頃より薫陶を受け、小学校の時には陶土の良否や採掘、轆轤 技術などの陶業全般を身に付けました。現在の瀬戸窯業高校で学び、復員後、本格的に作陶活動を再開し、織部焼・志野焼・黄瀬戸・灰釉・鉄釉などの 伝統 技法 をもとに作域を広げていき、多彩な 名品 の数々を作り出しました。器の全面に縄文を施した 織部焼 や 志野 の作品は、彼のオリジナルでたいへん高い評価を得ています。その後は、青瓷の研究に情熱を燃やしました。存在感のある器に、しっとりとした艶のある不透明な釉調の「粉青瓷」、透明感ある釉調と青緑の釉色が美しい「翠青瓷」、黄褐色の「窯変 米色青瓷」など、「嶺男青瓷」と呼ばれる独特の釉調や釉色の青瓷釉をまとう作品を生み出しました。
この作品も、深い青瓷色に細やかな二重 貫入 が表れており、彼らしい作風が味わえる作品です。彼の代表作である「窯変米色瓷」の 茶碗 です。高さ8.7cm×幅14.0cmで、高台内に 銘 があります。神秘的な凛とした味わいのある作品ですね。深く幽玄な色合いも見事です。岡部嶺男の作品では、このような彼独自の釉調や釉色の青瓷釉をまった作品や、晩年 に作られた織部の大作などが高価買取対象作品です。中でも特に、晩年の全盛期に作られた 上手 の作品が、一番、高く評価させて頂ける作品となります。作家は試行錯誤を繰り返し、何年もかかって独自の境地に到達します。作家の作品には、いろいろありますが、晩年の、自身の 作風 を確立させた 全盛期 の作品には、熟練した深い味わいがあり、高価買取させて頂けます。晩年の「窯変米色瓷」の作品になりますと、このお茶碗の倍ほどの価格で取引される作品もあります。売却際のご相談で、よく作家名での価格のお問合せがありますが、作家の名前だけでは価格の決定は出来ません。同じ作家の作品でも、制作年代や題材、出来栄えにより、10倍、20倍と価格が違う場合がありますので、一度ご相談頂ければと思います。(N0.420)