熊谷守一が得意とする花の絵を紹介します。
熊谷守一は、その容貌や、暮らしぶり、文化勲章 を辞退したエピソードなどから、「画壇 の仙人」と呼ばれています。世俗に染まることなく、自由な境地で制作活動を展開しました。1932年の暮れから、東京の自宅に庭を作り、たくさんの草木を植え、池を作り、動物や鳥、魚を飼い、この庭に息づくたくさんの虫や花を日々観察し、晩年 には、こうした身近な生命をモチーフに描きました。このひまわりも、そんな庭に咲いたひまわりでしょうか。彼独自の、大胆で単純化された形と鮮やかな色彩で、赤い輪郭線によって描き出されています。この輪郭線は、彼の重要な特徴です。対象の内側と外側から平塗りで 絵具 を厚く重ね、その拮抗の中で塗り残されたもので、1930年代から手がけ始めた 日本画 の書の影響をうかがわせる 技法 です。丸や三角、四角というシンプルな形にまで集約させた「いのちのかたち」を鮮明に際立たせています。毎年夏の強い日差しを受け、美しい花を咲かせるひまわりの、生命力の生き生きとした輝きが、巧みに表現された 逸品 ですね。22.8×15.5cmサイズの、板に描かれた油絵です。熊谷守一は、たいへん人気がある作家で、その作品は、一千万を超える価格で取引される洋画作家です。この作品も1963年、83才のときに描かれた作品で、最晩年の作と言っても良い年代に描かれた作品で、最も高価に買取できる作品となります。しかしながら、小品となりますので、買取価格は少し低くなります。同じ 図柄 の作品で、もう少し大きな作品でしたら、もっと高価に取引されることでしょう。作家の作品と一口に言ってもいろいろあるものです。制作年代や題材、出来栄えにより、売却頂く価格は違いますので、お気軽にご相談ください。
(No.1300)