山崎朝雲の得意とする木彫りの作品を紹介します。
山崎朝雲は、日本や東洋の歴史上の人物、神話や説話、おとぎ話、古典文学や絵巻物などを重要なテーマとしました。彼の代表作「大葉子」はたいへん有名です。岡倉天心が結成した「日本趣味に基づく木彫の発展と普及」を目指した日本彫刻会では、中心的な役割を果たしました。米原雲海や平櫛田中らと共に、木彫製作に力を注ぎ、生涯にわたって、日本趣味や東洋趣味をテーマにした作品作りに取り組みました。
この作品は、1973年、彼が70才のときに作られた 木彫り の作品です。高さ33.2cmで、背面下部に 銘 があります。樹下に佇み、優雅に琴をつま弾く中国風の美人が表現されています。唐代に流行した風俗画「樹下美人図」や、琴や書に興じる風流人を描いた「琴棋書画図」など、中国から取り入れられ、日本でも 古い時代 から狩野派などの画家たちが盛んに描いてきた絵画の主題に基づくものとも言われています。省略や デフォルメ などを加えながら、柔らかな曲線美を際立たせています。琴を操る指など、細部にまで写実性が見事に表現されており、さすがと思わせます。女性のもつたおやかさな色香が際立つ 名品 です。東洋の古典を題材にし、香り立つようなロマンティシズムと甘美さがあふれた魅力的な作品ですね。このような、彼の晩年に作られた 上手 の作品は、高く評価させて頂きますので、是非ご相談ください。山崎朝雲の場合は、ブロンズ像 や銀製などの型物の 金工作品 よりも、このような、細密 に彫られた造形力や芸術的センスの高い木彫作品が高価買取対象です。
作家は努力を重ね、試行錯誤を繰り返して、自身の納得の行く 作風 を確立させて行きます。若年 期の作品よりも、晩年 の 全盛期 の作品の方が、やはり熟練した深い味わいが出てきますので、断然、高価に買取させて頂けます。中でも、亡くなられる一年前、二年前の最晩年の作品は、最も高価に取引される作品となります。一口に作家の作品と言っても、いろいろあります。制作年代や題材、出来栄えなどにより、価格が違ってきます。売却依頼のご相談は、信頼と実績のある祇園の骨董店、古美術やかたにご依頼ください。(No.330)