藤本能道の大皿です。
藤本能道の色絵の大皿を紹介します。幅40.0cmで、高台内に「能」と 銘 があります。
彼は、色絵磁器で 人間国宝 に認定されています。写実 的で豊かな色彩の作品を作り上げました。彼の作品には、絵付 が良く映える箱や扁平した 壺、大 皿 などが多く見られます。またその 図柄 には花鳥を好んで用いています。この作品も、美しい白磁の背景に、色絵 で描かれた笹がたいへん際立っています。細部にまで、モダンなデザインの色絵が丁寧に施されており、味わい深い作品に仕上がっています。彼の作風が冴えるこのような作品は、高く評価させて頂きます。しかしながら、藤本能道と言えば、釉描加彩の 技法 によって画面に遠近感を現し、 緻密 な彩色を施した作品が、高価買取対象作品になります。「釉描加彩」とは、彼のオリジナルな 技巧 で、白磁釉に色釉で絵を描いて本焼きし、その上から従来の 上絵付 を行う技法です。この工夫により、絵付けの奥行が深まり、対象物が浮かび上がるように見え、背景には奥行きのある空間を感じることができます。彼のこのような、オリジナリティな技法を用いた晩年の作品になりますと、この大皿の十倍ほどの価格が付く作品もあります。作家は努力を重ね、試行錯誤を繰り返して、自身の納得の行く 作風 を確立させて行きます。若年 期の作品よりも、晩年 の作品の方が、やはり熟練した深い味わいが出てきますので、断然、高価に買取させて頂けます。中でも、亡くなられる一年前、二年前の最晩年の作品は、最も高価に取引される作品となります。制作年代や題材、出来栄えにより、10倍、20倍と価格が違う場合がありますので、一度ご相談頂ければと思います。(No.36)