杉山寧のお花の作品です。
山野に咲く可愛らしいふきのとうは、春を告げる花として、日本人に愛されてきた花です。可憐な味わいがあり、たいへん綺麗な作品ですね。1960年(昭和35)以降の杉山寧の 作風 は抽象表現と移行します。抽象 的なモチーフを組み合わせた背景に、細密 に描写した花鳥を描く独自のスタイルを確立し、従来の 日本画 の域を超えた世界観を描いた画家としてたいへん人気があります。彼の 全盛期 のこのような綺麗な作品は高価買取させて頂きます。麻布に彩色で描かれた作品です。日本画で通常用いられる和紙や絹ではなく、洋画で使う麻布を使用し、岩絵具に細かい砂などを混ぜて、厚塗りのざらざらとした質感を表現しているのも、彼の特徴です。写実の作家は、常にスケッチ道具を持ち歩き、いつも目に映るものを スケッチ するなど、研究や研鑽を積み重ね、自身の画風を確立さるものです。作家の中には、対象物を研究するために、わざわざ鶏を自宅に飼い、いつもその動作や特徴を研究し続けた作家もおり、その作家は、現在では鶏の絵を描かせれば日本でトップクラスと言われています。作家のものでは 、やはりこのように努力の末、何年もかかって独自の境地に到達した晩年 に描かれた作品の方が味わい深いものが多く、高価に取引されます。しかしながら、15.4×15.2cmサイズと、小品になりますので、価格はだいぶ低く取引されます。彼の大きな 花鳥画 の力作ですと、数段高い値段で取引される作品もあります。同じ作家の作品でも、大きな キャンバス に描かれた力作の方が、断然高価になります。簡単に描かれた書画や小さい作品と、何日、何ヶ月もかけて描かれた大きなサイズの力作とでは、価格は10倍、20倍と違ってくるのは当然のことかと思います。(No.150)