荻須高徳のパリの風景を描いた作品です。
荻須高徳は、美術学校 を卒業後すぐにフランスに渡り、第二次世界大戦中の一時期を除いて、生涯をパリで過ごしました。彼が魅了されたのは、観光客が好むような華やかな名所ではなく、そこで暮らす人々の生活や匂いが染みついたような街角の風景でした。ひっそりとした裏通りと汚れた石畳、古い建物とその色あせた壁、雑貨屋や食料品店の雑然とした店構えなどを親しみを込めて描きだしています。この作品は、サン・マルタン運河の水門を描いた作品です。パリのウルク運河とセーヌ川を結ぶ運河で、 印象派 の絵画や、映画のワンシーンに度々登場するなど、観光地として有名なところです。しかしながら、休日には日光浴や釣りを楽しむパリの地元市民の憩いの場所でもあるのです。彼もこの風景をとても愛し、度々 スケッチ のために訪れています。パリならではの情緒あふれる風景を見事に描き出していますね。運河を通る舟のために、水門を開ける係員をも描き表すことで、長い間、変わらずに営まれてきた街と人々や日常を巧みに表現しています。背景に運河沿いの古い建物群を表わし、歴史あるパリの堅固なイメージも強調されています。また、複雑に枝を伸ばす樹木はアクセントとなり、豊かな叙情あふれる作品になっています。
このような、荻須高徳のパリの街角を描いた 風景画 は高く評価させて頂きます。中でも、晩年 に描かれた明快で骨太な筆使いの作品は、高価買取対象作品となります。若書きの作品にもエネルギッシュな味わいがありますが、やはり、晩年の作品は、穏やかなタッチと造形性に富んだ構成が魅力で、高価に取引させて頂けます。作家の描かれた作品には、いろいろありますが、若書き の作品よりも、晩年 の 全盛期 に描かれた作品の方が、熟練した洗練された 作風 となりますので、 断然、高価に買取させて頂けます。同じ作家の作品でも、制作年代や 図柄、保存状態 により、10倍、20倍と価格が違う場合がありますので、一度ご相談頂ければと思います。65.0×80.8cm、キャンバス に描かれた油絵です。(No.1400)