柴田是真 略歴

文化4年（1807）の江戸・両国に生まれる。
11歳の時、蒔絵を学ぶために古満寛哉に 弟子 入りし、芸術の基礎などを教わり、蒔絵 を学び始める。
絵画と芸術への探究心は深く、絵画の技術を高めるべく、16歳で、日本 画家 の大きな派閥である 四条派 の絵を学ぶために鈴木南嶺に 師事 し、画も学ぶ。
20歳のころには、その当時、人気が高まっていた浮世絵の歌川国芳が是真の絵に感動し、弟子入りを申し込むこともあった。
24歳、文政13年（1830年）の時、四条派の絵についてさらに深く学ぶため、当時、絵画が盛んだった京都へ移る。
その1年後、25歳のとき江戸に帰り、鈴木南嶺と再会し、極めて進歩した作品に感心される。
それを機に「是真」を称するようになった。
天保11年（1840）江戸の王子稲荷神社に絵馬「鬼女図」を奉納し、評判となり、絵馬は、現在も同社に伝わっている。
蒔絵に新境地を示したほか、和紙の上に色漆で描く独自の漆絵を創始。
専門の 絵師 が描いた下図をもとに 蒔絵 を制作していたが、自ら下図を描くことにより、画期的な蒔絵、漆絵を生み出す。
柴田是真の若かりしころの功績も大きく、青梅勘七以来途絶えてしまっていた、幻の青海波塗を復元し、画人としながらも 漆工 として数々の塗りを発明していき名を馳せて行く。
刻苦の末、江戸随一の名工としてその名を知られるようになる。
元々、画を志している柴田是真だけにその絵画に関する才能は秀でるものがあり、漆器 などに描く画は綿密で 繊細 ながら、豪快さも残る柴田是真らしい作品として世界的にも高名である。
当然、美術界からの評価は高く数多くの名誉ある賞を数々受賞している経験を持つ。
1873年（明治6）、66歳の時にウィーン万国博覧会に「富士田子浦蒔絵額面」を出品し、話題になり進歩賞牌を授与され、「Zeshin」の名は世界中に広まることとなる。
その雄大で豪快な富士の絵は、どこか繊細でたおやか、しかも 日本画 を越えた不思議な魅力を持つ秀作である。
内外の 博覧会 に蒔絵額、漆絵を出品し、国内外の様々な賞を 受賞 した他、宮中の御用も度々つとめ、明治御殿襖絵や新宮殿杉戸絵などを描いた。
頼山陽・香川景樹ら諸名家とも親交し、その芸術を後世にも教育する後継者としても美術界に高く貢献した。
激動の幕末・維新を生き、絵を描くことと、蒔絵をすることに生涯を捧げ、幕末・明治を通してその作品は、江戸・東京市民にも絶大な人気を得た。
明治24年（1891年）7月13日に85歳で逝去。
是真は蒔絵師であり、画家であり、またデザイナーとも言われている。
他の蒔絵師とは違い、下絵から蒔絵までのすべてを自身で行なった。
新しいものへの探究心が強く、青銅塗・四分一 塗・鉄錆塗・砂張 塗・紫檀 塗・墨形塗などの新 技法 を創り出した。
青銅塗の地に、金の薄板や螺鈿を多用した「五節句蒔絵手箱」など今までにない作品を生みだす一方、絵画についても研究・制作し続け、絵画と工芸の枠組みを超えて活躍した。
日本の漆工分野において、近世から近代への橋渡しする役割を果たした工人である。
ただ、その作品の大半が焼失あるいは海外に流出してしまったため、なかなか目にすることが少ない。
明治6年（1873）ウィーン 万国博覧会 で進歩賞牌を受賞して以来、海外でも一躍その名を知られるようになり、海外では最も有名な漆芸作家として知られている。
日本近代美術の中では、河鍋暁斎と並んで現在もなお、欧米で高い人気と知名度を誇る作家のひとりである。
近年では、イギリスでナセル・ハリリ氏の是真コレクションが展示され、その後日本でも、三島大社宝物館・富山佐藤美術館で展示された。

柴田是真の主な出来事や作品の年表

文化 4年（1807）越後出身の宮彫師柴田市五郎の子として、江戸両国橘町に生まれる。
文化14年（1817）11歳の時、蒔絵師・古満寛哉（初代）に 師事 し蒔絵を学ぶ。
文政 5年（1822）16歳の時、円山四条派の鈴木南嶺に師事し絵を学ぶ。
日本画家の大きな派閥である 四条派 の絵を学ぶ。
名を是真とし、令哉と 号 す。
文政 9年（1826）浅草本願寺の依頼で障壁画を描く。
20歳のころには、その当時、人気が高まっていた浮世絵の歌川国芳が是真の絵に感動し、
弟子入りを申し込むこともあった。
文政13年（1830）24歳、京都へ上り、四条派の 画家 岡本豊彦の 弟子 となる。
文政14年（1831）25歳、江戸へ戻る。南嶺に再会、極めて進歩した作品に感心される。
それを機に「是真」を称するようになった。
現在の台東区浅草橋一丁目付近に居を構え、居宅を「対柳居」と命名。
天保11年（1840）江戸の王子稲荷神社に絵馬「鬼女図」を奉納し、評判となった。絵馬 は、現在も同社に伝わっている。
蒔絵に新境地を示したほか、和紙の上に色漆で描く独自の漆絵を創始。
専門の 絵師 が描いた下図をもとに 蒔絵 を制作していたが、自ら下図を描くことにより、
画期的な蒔絵、漆絵を生み出す。
明治 6年（1873）ウィーン 万国博覧会 に「富士田子浦蒔絵額面」を出品して進歩賞牌を受賞する。
話題になり進歩賞牌を授与され、「Zeshin」の名は世界中に広まることとなる。
明治 7年（1874）三男順三郎（梅沢隆真）が生まれる。
明治 9年（1876）フィラデルフィア万博。
明治11年（1878）長女せいが生まれる。同年、是真は剃髪したとされる。
明治12年（1879）「竜池会」設立。
明治18年（1885）「東洋絵画会」の設立に尽力。
明治19年（1886）皇居の「杉戸絵」を描く。
明治22年（1889）パリ万博、内国 勧業博覧会 など内外の 博覧会 で高賞を 受賞。
海外でも一躍その名を知られるようになり、海外では最も有名な漆芸作家として知られている。
明治23年（1890）帝室技芸員 になる。
後世にも教育する後継者としても美術界に高く貢献した。
明治24年（1891）漆工 技術の「日本漆工会」を創設。
7月13日逝去、享年85歳。

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