川端近左 略歴

初代　近左（1818年（文政元）〜1896年（明治22））
本名は佐兵衛で、号を近左。
川端家は滋賀県の出身と伝えられており、幕末の頃には京都で油屋（屋号・近江屋）を営んでいたとされる。
油商を営むかたわら俳諧・日本画 などを嗜む趣味人であった。
趣味で始めた漆芸・蒔絵への愛着が高じてもうひとつの家業となり、19世紀中頃の天保年間には、すでに 漆工 芸の仕事をしていた。
「近江屋」の屋号と「佐兵衛」の名より「近左」と号した。
元治元年の蛤御門の変で火災に遭い、長男、日本画家・川端玉章の居る江戸へ移り住んだ。
岡倉天心や三井家の後援を得て活躍し、画家 として歴史に名を残している。

二代　近左（1823年（文政6）〜1902年（明治34））
本名は佐七で、初代の長男。
玉章が画を好んで家業を継がなかったため、弟の佐七が二代を襲名した。
元治元年の蛤御門の変で火災に遭い、慶応3年に大阪に移住した。
蒔絵、螺鈿 を得意とし、数え年77歳の喜寿の年には、喜翁近左と共箱に記している。

三代　近左（1853（嘉永6）〜1912年（明治45））
本名は蟻洞で、初代の三男。
二代に後継がいなかったため、兄玉章の後援を受けて、明治34年に三代近左を 襲名 した。
父、兄の影響で絵心に優れ、硯箱、卓、棚などに新しい漆工芸の世界をひらき活躍した。
三代近左は十数年の短い期間でしたが優れた作品が数多く残している。

四代　近左（1891年（明治24）〜1975年（昭和50））
本名は対三郎で、三代の兄の対吉の三男。
初代長男の玉章が二代の弟子、河合漆仙と相談の上、対三郎が12歳の時に三代との養子縁組を決め、三代に 師事 した。
22歳で四代近左を襲名し、数多くの 茶道具 を製作した。

五代　近左（1915年（大正4）〜1999年（平成11））
奈良県の生まれで、本名は三義。12歳で四代近左に 入門 した。
昭和16年、四代が養女に迎えた姉の末子、吉子の婿養子となり、その後、日本画 を能田耕風に学びながら、家業は四代に師事した。
大阪府展および市展で知事賞・市長賞を受け、日本美術展に数回入選。
五代近左を襲名の後には 個展 に専念し、各お家元宗匠のお好みになる作品を数多く手がけた。
昭和56年には大阪府知事功労賞を 受賞 した。

六代　近左（1947年（昭和22）〜）
本名は一价で、五代の長男として大阪府に生まれた。
昭和41年大阪市立工芸高校（美術科 日本画科）卒業。
昭和45年京都市立芸術大学（漆芸科）を卒業し、冬木偉沙夫氏に師事し、木地 作りから加飾まで基礎を学んだ。
卒業後、父・五代に師事し、平成12年に六代近左を襲名した。
平成13年、高島屋京都店・横浜店にて襲名記念作品展、平成14年に高島屋東京店・大阪店にて個展を開催した。
三千家各お 家元 宗匠に 襲名 記念の作品が好まれ、以後、「襲名記念 6代 川端近左 漆芸展」なる 個展 を各地で開催している。

次代　近左（1978年（昭和53）〜）
本名は宏房で、六代の長男として大阪府に生まれた。
幼少期の頃から祖父である五代近左（三義）の傍らで、家業の漆芸に親しむ。
その影響もあり、高校から美術系の学校に進み、卒業後も迷うこと無く漆芸の道に進んだ。
平成11年に奈良芸術短期大学 洋画 コース卒業後、平成13年石川県立輪島漆芸研修所専修科 蒔絵 コース卒業。
卒業後の翌年に六代川端近左に師事する。
平成18年に大阪工芸展勢力蒔絵花器 奨励賞 を受賞し、12月には京都高島屋工芸サロンで初個展。
平成25年に大阪高島屋ギャラリーNEXT初個展、翌年には京都高島屋で個展を開いた。
現在は父である六代近左のもと、歴代近左の教えと技を学んでおいる。
また、自然をモチーフにした素朴で自由な世界観を作品に込めた創作活動にも取り組んでいる。

川端近左の主な出来事や作品の年表

初代　近左（1818年（文政元）〜1896年（明治22））
1818年（文政元） 滋賀県の出身。本名、佐兵衛。号を近左。
京都で油屋を営む。屋号は近江屋。
油商を営むかたわら俳諧・日本画 などを嗜む。
趣味で始めた漆芸・蒔絵 への愛着が高じてもうひとつの家業となる。
1830年（天保年間）頃、漆工芸の仕事を始める。「近江屋」の屋号と「佐兵衛」の名より「近左」と号した。
1864年（元治元） 蛤御門の変で火災に遭い、長男、日本画家・川端玉章の居る江戸へ移り住んだ。
岡倉天心や三井家の後援を得て活躍し、画家 として歴史に名を残している。
漆芸は初代の弟が2代を襲名した。
1896年（明治22） 死去。

二代　近左（1823年（文政6）〜1902年（明治34））
1823年（文政 6） 生まれる。本名、佐七。
長男で日本画家の川端玉章が画を好んで家業を継がなかったため、弟の佐七が二代を 襲名 した。
1864年（元治元） 蛤御門の変で火災に遭う。
1867年（慶応 3） 大阪に移住した。
蒔絵、螺鈿を得意とし、数え年77歳の喜寿の年には、喜翁近左と 共箱 している。
1902年（明治34） 死去。

三代　近左（1853（嘉永6）〜1912年（明治45））
1853年（嘉永 6） 生まれる。本名、蟻洞。
1901年（明治34） 初代の三男にあたる義洞は、二代に後継がいなかったため、
兄玉章の後援を受けて、明治34年に三代近左を襲名した。
父、兄の影響で絵心に優れ、硯箱、卓、棚などに新しい 漆工 芸の世界をひらき活躍した。
三代近左は十数年の短い期間でしたが優れた作品が数多く残している。
1912年（明治45） 死去。

四代　近左（1891年（明治24）〜1975年（昭和50））
1891年（明治24） 三代の兄、対吉の三男として生まれる。本名、対三郎。
初代長男の玉章が二代の弟子、河合漆仙と相談の上、
1903年（明治36） 対三郎が12歳の時に三代との養子縁組を決め、三代に 師事 した。
1912年（明治45） 22歳で四代近左を襲名し、数多くの 茶道具 を製作した。
1975年（昭和50） 死去。

五代　近左（1915年（大正4）〜1999年（平成11））
1915年（大正 4） 奈良県に生まれる。本名、三義。
1928年（昭和 3） 12歳で四代近左に 入門 した。
1941年（昭和16） 四代が養女に迎えた姉の末子、吉子の婿養子となり、
その後、日本画を能田耕風に学びながら、家業は四代に師事した。
大阪府展および市展で知事賞・市長賞を受け、日本美術展に数回入選。
1963年（昭和38） 五代近左を襲名の後には 個展 に専念し、各お家元宗匠のお好みになる作品を数多く手がけた。
1981年（昭和56） 大阪府知事功労賞を 受賞 した。
1999年（平成11） 死去。

六代　近左（1947年（昭和22）〜）
1947年（昭和22） 五代の長男として大阪府に生まれた。本名、一价。
1966年（昭和41） 大阪市立工芸高校（美術科 日本画科）卒業。
1970年（昭和45） 京都市立芸術大学（漆芸科）を卒業。
冬木偉沙夫氏に師事し、木地 作りから加飾まで基礎を学んだ。
卒業後、父・五代に師事。
2000年（平成12） 六代近左を襲名した。
2001年（平成13） 高島屋京都店・横浜店にて襲名記念作品展、
2002年（平成14） 高島屋東京店・大阪店にて個展を開催した。
三千家各お 家元 宗匠に襲名記念の作品が好まれ、以後、
「襲名記念 6代 川端近左 漆芸展」なる個展を各地で開催している。

次代　近左（1978年（昭和53）〜）
1978年（昭和53） 六代の長男として、大阪に生まれる。本名、宏房。
幼少期の頃から祖父である五代近左（三義）の傍らで、家業の漆芸に親しむ。
その影響もあり、高校から美術系の学校に進み、卒業後も迷うこと無く漆芸の道に進んだ。
1999年（平成11） 奈良芸術短期大学 洋画 コース卒業。
2001年（平成12） 石川県立輪島漆芸研修所 専修科 蒔絵コース卒業。
2002年（平成13） 卒業後６代川端近左に師事する。
2006年（平成18） 大阪工芸展 勢力 蒔絵 花器 奨励賞 受賞。12月には京都高島屋工芸サロンで初個展。
2013年（平成25） 大阪高島屋ギャラリーNEXT初個展。
2014年（平成26） 京都高島屋 個展。
現在は父である六代近左のもと、歴代近左の教えと技を学んでおいる。
また、自然をモチーフにした素朴で自由な世界観を作品に込めた創作活動にも取り組んでいる。

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