鈴木蔵 略歴

志埜

1934年、岐阜県土岐市生まれ。
岐阜県土岐市という美濃焼の産地で生まれた鈴木蔵は父親が 釉薬 の研究者であった事から陶芸に親しみ育った。
1953年、岐阜県立多治見工業高等学校窯業科を卒業後、父が窯業技師として勤める多治見市内の丸幸陶苑の研究室にに入社し、父の助手として勤め、陶芸 の基礎と釉薬の研究に励む。
美濃焼の志野や織部等の釉薬の研究者として知られていた父から、陶土や釉薬の調整をはじめ、広く陶芸の基礎について学ぶ。
東美濃地方の太平、大萱、九尻などの桃山時代の古窯趾を探索し、志野や織部の 技法 に深い関心を持つようになった。
東濃地方（現岐阜県 土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市や現愛知県 瀬戸市など）は、古くから焼物で知られており、志野や瀬戸、織部などの総称として美濃焼という言葉が用いられている。
この地域では、多くの名工を輩出してきた。
その後、荒川豊蔵、5代・加藤幸兵衛、人間国宝の加藤土師萌など美濃を代表する 陶芸家 たちに 師事 し、桃山期の志野再現に力を注ぐようになる。
基礎から応用、そして精神を学び、徐々に実力をつけ、桃山時代から継承されている、伝統 的な陶芸技法の「志野」の研究に取り組む。
焼成法などに独自の手法を取り入れ、志野の 技法 に新たな一歩を加えた。
1955年頃には、初出品をした現代日本陶芸展、日本伝統工芸 展で入選。
その後も受章を続け、作家として早くも頭角を現すようになった。
プロの陶芸家としての第一歩を歩み始める。
また、その研究姿勢も高く評価されていくようになる。
1968年に独立、志野は穴窯でしか焼成できないと言われてきたが、志野 の技法を並々ならぬ信念で研究。
深く研究を重ね、古来の半地下式穴窯を改良した独自の焼成方法を考案し、ガス窯による志野の焼成に成功。
それまでの経験を生かした耐熱保温、長時間焼成の独得の窯を築き、ガス窯によって伝統的な志野や織部の技術を現代陶芸として創作する道を開発した。
1982年に日本陶磁協会金賞を受賞、1987年には芸術選奨文部大臣賞を 受賞。
美濃焼の名手として徐々に名声を上げていった。
1994年に 重要無形文化財「志野」保持者として 人間国宝 に認定された。
花器や大皿などにみられるダイナミックな造形表現とともに、茶碗など 一作ごとに形や意匠に応じて表現に工夫を凝らすなど、 その理知的な作調により 現代 志野 への志向が伺われる。
重要無形文化財「志野」の保持者として志野の研究、焼成に一途に取り組み、自然の力強さを感じさせる精神性の高い 陶器 の制作を続け、志野独特の白色の 釉薬 の原料でもある長石の研究も重ね、現代志野のさらなる発展をめざし研究を進めている。
他には無い釉薬の使い方が特徴。
現在も、志野独特の白色の釉薬の原料となる長石を研究を続けている。
現代志野の第一人者として活躍し、日本 陶芸 展をはじめ数多くの 展覧会 やコンテストで受賞を重ねている 陶芸家。

鈴木蔵の主な出来事や作品の年表

1934（昭和9） 年、鈴木通雄の長男として岐阜県土岐市に生まれる。
1953（昭和28）年、岐阜県立多治見工業高等学校窯業科を卒業後、
父が窯業技師として勤務する多治見市内の丸幸陶苑の研究室に父の助手として勤める。
志野 や織部の 釉薬 研究者として業界に知られていた父の指導を受けると共に、
大平、大萱、九尻等の桃山時代の古 窯 跡を探索した。
1959（昭和34）年、現代日本 陶芸 展で佳作賞を受賞。
第6回 日本伝統工芸 展で入選する。
1961（昭和36）年、現代日本陶芸展で第一席優秀賞を受賞。
日本伝統工芸展で日本放送協会会長賞を受賞。
1962（昭和37）年、チェコ国際陶芸展でグランプリを受賞。
日本工芸会正会員となる。
1963（昭和38）年、朝日陶芸展で県知事賞を 受賞。
1964（昭和39）年、自宅にガス窯を設置し独立する。
1967（昭和42）年、朝日陶芸展 審査員 に就任した。
日本伝統工芸展で日本工芸会会長賞を受賞。
1968（昭和43）年、日本陶磁協会賞を受賞。
独立して独自のガス窯を築く。
1972（昭和47）年、日本伝統工芸展鑑査委員に就任した。
1973（昭和48）年、中日国際陶芸評議員・審査員に就任した。
1974（昭和49）年、日本伝統工芸展鑑査委員に就任した。
1982（昭和57）年、日本陶磁協会賞金賞を受賞。
1987（昭和62）年、芸術選奨文部大臣賞を受賞。
中日文化賞、岐阜新聞文化賞、岐阜県芸術文化顕彰を受賞。
1990（平成2） 年、多治見市虎渓山町に築窯した。
1992（平成4） 年、藤原啓記念賞、東海テレビ 文化賞 を受賞。
多治見市無形文化財志野技術保持者に認定される。
1994（平成6） 年、重要無形文化財「志野」の保持者（人間国宝）に認定された。
1995（平成7） 年、紫綬褒章を受章。
理知的で 伝統 的 技法 を踏まえながら、
志野への徹底した探究心と優れた造形力が特徴。
その実力は、現代志野の頂点に位置しており高い評価を受けている。
2000年（平成12）、日本工芸会陶芸部会長・常任理事に就任する。
智美術館大賞現代の茶陶展で大賞を受賞。
2010年（平成22）、智美術館大賞現代の茶陶展で優秀賞を 受賞。

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