楠部弥弌の得意とする彩埏の香炉を紹介します。
楠部弥弌の 香炉 を紹介します。高さ11.0cm×幅12.6cmで、高台内に「弥」と 銘 があります。
楠部弥弌は、色絵や金彩、染付 など多彩な 作風 を展開しましたが、中でも代表的な 技法 に「彩埏」と名付けられた釉下彩磁が広く知られています。釉下彩というのは釉薬の下の胎土に顔料で直接文様を描き、その上から透明の釉薬を掛けて焼き上げる 技巧 で、染付 や 釉裏紅、辰砂 などがあります。彼が作り出した「彩埏」は、釉に固有の色を出させるための呈色剤を混ぜた磁器土を、水を加えて軟らかくし、何度も薄く塗り重ねて、浮き彫り風にして文様を出します。彩埏作品では草花を主なモチーフとして、文様を淡く浮き立たせた優美でモダンな印象の品が多く、花瓶 や飾り 皿、香炉 などを制作しました。彼の作品では彩埏技法を用いたものがたいへん有名です。彼の作品では彩埏技法を用いた作品が高価買取対象です。
中でも特に、晩年 の全盛期に作られた作品が最も高価に売却頂ける作品になります。作家は試行錯誤を繰り返し、何年もかかって独自の境地に到達します。作家の作品には、いろいろありますが、晩年の、自身の 作風 を確立させた 全盛期 の作品には、熟練した深い味わいがあり、高価買取させて頂けます。中でも、亡くなられる一年前、二年前の最晩年の作品は、最も高価に取引される作品となります。ご相談で、よく作家名での価格のお問合せがありますが、作家の名前だけでは価格の決定は出来ません。同じ作家の作品でも、制作年代や題材、出来栄えにより、10倍、20倍と価格が違う場合がありますので、一度ご相談頂ければと思います。(No.880)