河井寛次郎の食籠です。
河井寛次郎の高さ16.6cm×幅19.2cmの 食籠 を紹介します。
河井寛次郎は、30代で、五条坂の 窯 を譲り受け、「鐘渓窯」と名付け、作品活動を行いました。その後、民芸運動に深く関わるようになり、用の美を追求した、日常に溶け込む作品を手掛けるようになっていきます。47才の頃には、パリの 万国博覧会 でグランプリを 受賞 するなど、世界的にも評価が高い 巨匠 です。
可愛らしい味わいのある食籠です。このような、草花の模様がある作品は、彼の特徴的な作風で、高く評価させて頂きます。黒褐釉、鉄絵、辰砂、染付、白化粧土、鉛釉などを使い、草花や動物文を描いた重厚な味わいのある、日常使いの器や 皿 は、たいんへん人気があります。また、一番評価が高く、人気も高いのは、やはり、面白い形をした大型の作品や、信楽焼のような地肌に五彩の色を飛ばしたような作品です。ごつごつした信楽の土を使った 素地 に、赤や緑、黒の釉薬を刷毛で力強く打ちつけてあるような 晩年 の 上手 の作品になりますと、このような作品に比べて、2倍、3倍の買取価格で取引される作品もあります。陶芸家 が生涯かけて制作した作品は、数多くありますが、力作や秀作と言われる作品は、実は全作品の二割ぐらいだと言われています。同じ作家の作品でも、小さい作品と、何日、何ヶ月もかけて作られた大きなサイズの力作とでは、価格は10倍、20倍と違ってくるのは当然のことかと思います。ご相談で、よく作家名での価格のお問合せがありますが、作家の名前だけでは価格の決定は出来ません。同じ作家の作品でも、制作年代や題材、出来栄えにより、10倍、20倍と買取価格が違う場合がありますので、一度ご相談頂ければと思います。(No.42)