箆使いが面白い楽旦入の赤茶碗です。
今回ご紹介するのは十代 楽旦入の赤茶碗で、高さ8.1×幅11.4cmです。高台 脇に紀州徳川家から賜った楽の拝領印が捺されています。
楽吉左衞門は 千家十職 の一つで、楽焼 の 茶碗 を作る茶碗師の樂家が代々 襲名 しており、洗練された 茶道具 の 名品 を数多く制作しています。旦入は表千家九代了々斎と共に紀州御庭焼の偕楽園 窯 開設に尽力しており、作風 は織部焼や伊賀焼、瀬戸焼などの意匠を取り入れ、技巧的で華やかな作品が多くあります。多くの作家は30代、40代ではまだ自分独自の作風には至らず、60代になってやっと作れるようになると言います。若年 期 の作品(前作)と、自分の作風を築いた 晩年 の作品とでは、買取価格は10倍、20倍と違ってきます。やはり晩年の 全盛期 に作られた作品の方が味わい深く、断然、高値で売却頂けます。楽茶碗の場合、買取価格が一番高いのは黒茶碗で、二番目に高いのは赤茶碗です。この作品が黒茶碗でしたら高く評価され、価格は50万円を超えるかもしれませんね。(No.82)