板谷波山の得意とする彩磁の花瓶を紹介します。
板谷波山は、巧みな 彫刻 技術 を駆使し、西洋の アール・ヌーボー 様式や中国の古陶磁の意匠を取り入れ、豊穣で格調高い作品を生み出した 陶芸家 です。陶芸 を近代的な芸術として確立させた開拓者として、高く評価され、陶芸家としては初の 文化勲章 を受章しています。板谷波山の作品は、青磁、白磁、彩磁のいずれの作品も造形や色彩が素晴らしい、格調の高いもので、従来の 色絵 磁器とは異なるソフトで絵画的、幻想的 な表現が特徴的です。
この作品は円熟期にあたる1950年、彼が78才の頃に作られた「彩磁」の 花瓶 です。高さ22.2cm×幅25.1cm、高台内に「波山」と 銘 があります。「彩磁」は釉下彩の磁器で、若き日に学んだ彫刻の技を生かした「薄肉彫」によって文様を精緻に浮き彫りし、彩色した後に艶やかな 釉薬 を施します。この作品では文様で胴部を四面に区切り、各面に可憐な草花を描いています。この草花のデザインは、江戸 更紗 や ペルシア の染色意匠を参考に彼が考案したものと言われています。どの草花も風に吹かれて揺れるような躍動感が感じられます。さらに「薄肉彫」の効果により、草花には立体感が表れており、可憐な美しさが際立っています。文様と色彩の秀逸さ、器の形の洗練さ、これらが三位一体となって、優美で趣きのある 全盛期 ならではの味わいが醸し出されています。さすが、晩年の円熟期の境地です。このような、気品に満ちあふれた、晩年の 上手 の作品は、高価買取させて頂きますので、是非ご相談ください。晩年の上手の作品は、数千万の価格で取引される陶芸界随一の買取価格を誇る作家です。
作家は努力を重ね、試行錯誤を繰り返して、自身の納得の行く 作風 を確立させて行きます。若年 期の作品よりも、晩年 の作品の方が、やはり熟練した深い味わいが出てきますので、断然、高価に買取させて頂けます。中でも、亡くなられる一年前、二年前の最晩年の作品は、最も高価に取引される作品となります。一口に作家の作品と言っても、いろいろあります。制作年代や題材、出来栄えなどにより、価格が違ってきます。売却依頼のご相談は、信頼と実績のある祇園の骨董店、古美術やかたにご依頼ください。(No.6200)