富本憲吉の作品を紹介します。
富本憲吉の作品を紹介します。高さ9.5cm×幅20.5cmで、高台内に「富」と 銘 があります。富本憲吉は、イギリス留学から帰国後バーナード・リーチと親交を深め 陶芸 の道に進みました。本格的な 窯 を築き、白磁の焼成を成功させ、後に、色絵 磁器の制作に取り組みました。図案家であった才能を生かし、絵付 も巧みで、色彩豊かな、繰り返しの模様の作品は、高い評価があります。「色絵磁器」で人間国宝です。晩年 の頃には、羊歯文様などによる独自の作陶世界を確立し、「色絵金彩羊歯文大飾壺」などの代表作を残しています。
この作品は、シンプルな作品ですが、彼ならではの味わいのある美しい作品です。1937年、彼が51才のときに作られた作品です。彼の作品では、白磁 でも色絵磁器にしても、品格のある晩年の作品が高価買取対象作品です。晩年に作られた 上手 の色絵の作品になりますと、この作品に比べて、買取価格が数段上になる作品もあります。同じ作家の作品でも、小さい作品と、何日、何ヶ月もかけて作られた大きなサイズの力作とでは、価格は10倍、20倍と違ってくるのは当然のことかと思います。
陶芸作品は火の中をくぐって出来上がります。窯を開けて、初めて品物の良し悪しが決まるものです。同じ模様の作品でも、仕上がり状態により、価格は2倍、3倍と変わります。その査定には審美眼が必要となります。品物の真贋を問うことを「鑑定」といいます。品物の値段を決めることではありません。真贋を問う力は、身に付けるのに数十年かかってもなお奥が深く難しい、というのが現実です。我々古美術骨董店業界では、鑑定士という資格は無く、数十年かかり長年の経験と信用を得てはじめて査定や鑑定ができるようになります。業界内で 真贋 を問う場合、簡単な言葉ですが、「ゴリっとしている」とか「すっきりしている」とか簡単な言葉でしか表現できないものです。しかしながら、そのたった一言に数十年の重みがあるのです。売却のご相談は、信頼と実績のある祇園の骨董店、古美術やかたにご依頼ください。(No.54)