九代大樋長左衛門の茶碗を紹介します。
九代大樋長左衛門の茶碗を紹介します。高さ8.2cm×幅12.5cmで、高台脇に「長左衛門」と 銘 があります。大樋長左衛門は、江戸時代から焼き継がれている楽焼です。日本の陶工の 元 で、大樋焼 といわれています。軟らかくねっとりとした茶褐色の飴釉が特徴的です。茶道具を中心に制作されており、轆轤 を使わずに手とへらだけで作られた素朴で優雅な趣きのある道具が作られてきました。楽焼 は、千利休はじめ、多くの茶人たちが好んだとされ、手捏ねによるわずかな歪みと厚みのある形状が特徴で、茶道具 の中でもお 茶碗 が人気です。九代は、手捏ねによる楽焼本来の伝統的手法を忠実に守り、歴代の中でも優れた陶才を発揮し、円熟した卓越した大樋焼を作り上げました。その 作風 は高い評価を受けており、たいへん人気があります。
この作品も、彼らしい趣きがあり気品ある美しさが感じられます。このような、飴釉の茶碗は高価買取させて頂きます。特に、晩年 になり初めて独自の境地の作品が出来るもので、晩年の 全盛期 の作品が、一番の高価買取対象作品になります。しかしながら、彼の作品の中で、最も高値で売却頂ける作品は黒楽になります。次に飴釉、そして赤楽の作品になります。晩年に作られた 上手 の黒茶碗になりますと、このお茶碗に比べて、2倍、3倍の価格で取引される作品もあります。
陶芸作品は、窯で火をくぐり完成される作品です。その色や形を探るのに何千回と窯に火を入れ、陶片を焼きます。窯 の周辺では多くの陶片が残され、作家が熱心に研究した跡が残る窯も多くあります。試行錯誤を繰り返し、たくさんの失敗を重ね、努力の末に、名品が生まれてくるのですね。やはり、自身の納得の行く境地を確立させた晩年の作品には、熟練した深い味わいがあります。ご相談で、よく作家名での価格のお問合せがありますが、作家の名前だけでは価格の決定は出来ません。同じ作家の作品でも、制作年代や題材、出来栄えにより、10倍、20倍と価格が違う場合がありますので、一度ご相談頂ければと思います。（No.14）