梅原龍三郎の桃の絵です。
1960年作、72才のときに描かれた 静物画 です。皿に盛られた桃を描いた作品で、桃のもつみずみずしさが伝わってきますね。洋画界の 重鎮、巨匠 が描いた 名品 です。このような、梅原龍三郎らしさがひかる作品は高く評価させて頂きますので、是非ご相談ください。梅原龍三郎の作品では、特に富士山や花の絵を描いた作品が、たいへん人気が高く、高価に取引されます。この作品も彼らしい面白い作品ですが、19.3×33.3cmサイズと、小品になりますので、価格はだいぶ低く取引されます。同じ作家の作品でも、大きな キャンバス に描かれた力作の方が、断然高価になります。簡単に描かれた書画や小さい作品と、何日、何ヶ月もかけて描かれた大きなサイズの力作とでは、買取価格は10倍、20倍と違ってくるのは当然のことかと思います。また、この作品は、紙に水彩で描かれていますが、一般的に 洋画 の場合は、スケッチ画 や簡単に描かれた絵よりも、額装 で 細密 に色彩豊かに描かれた油絵の方が高価買取出来ます。油絵 の魅力の一つに、その作品がもつ肌合いがあげられます。これはマチエール、絵肌とよばれ、画家がとても大切にするものです。油絵はぬり重ねの表現ができるので、重厚感や絵具の盛り上がりが楽しめます。洋画の味わいのひとつでしょう。作品の味わいや真贋を見極めるのは、簡単なことではありません。品物の値段を決めることが「鑑定」ではなく、品物の真贋を問うことを鑑定といいます。真贋を問う力は、身に付けるのに数十年かかってもなお奥が深く難しい、というのが現実です。我々古美術骨董店業界では、鑑定士という資格は無く、数十年かかり長年の経験と信用を得てはじめて査定や鑑定ができるようになります。業界内で 真贋 を問う場合、簡単な言葉ですが、「ゴリっとしている」とか「すっきりしている」とか簡単な言葉でしか表現できないものです。しかしながら、そのたった一言に数十年の重みがあるのです。(No.105)