伊東深水の美人画です。
1932~1933年の頃に描かれた作品で、彼の30代前半の頃に描かれたものです。雨上がりの頃でしょうか。唐傘を手に道行く女性がたいへん美しい立ち姿で描かれております。さすが浮世絵の 伝統 を汲む美人画家、伊東深水の作品で、当時の女性たちをリアルに描いています。また、この作品は、絹本 に彩色で描かれた作品です。一般的に日本画の場合は、紙本より絹本に描かれた作品の方が高価に買取させて頂けます。しかしながら、58.9×54.3cmサイズと、小品になりますので、価格はだいぶ低く取引されます。同じ作家の作品でも、簡単に描かれた書画や小さい作品と、何日、何ヶ月もかけて描かれた大きなサイズの力作とでは、大きな作品の方が、断然高価にお引き取りできます。価格が10倍、20倍と違ってくるのは当然のことかと思います。良い例として、祇園のお茶屋さんに売却依頼で伺った際の、京の街ならではの話を紹介します。昔から一見さんお断りの風習がある京の祇園街には、著名な人々、有名な作家が多く訪れます。ある 著名 な作家さんがお帰るときに「今日は持ち合わせがないので」と、襖に簡単な絵を描かれ、「今日の払いはこれにて」と、帰られたそうです。当店地元の京の祇園街では、このような面白い逸話や粋な作品が残されております。作家の作品と一口に言ってもいろいろあるものです。伊東深水の場合は、中年から晩年の美人画がたいへん人気があり、特に 日本髪 を結っている美人画は高価買取対象作品です。その中でも、雪や桜など季節を感じさせる 図柄 の作品は人気があります。制作年代や題材、出来栄えにより、価格は違いますので、お気軽にご相談ください。(No.105)