漆 ( うるし )

漆は漆樹の外皮と材部の間にある漆液溝と呼ばれる隙間に入っている樹液で、空気中に出ると乳白色が褐色に変わります。
この原液を「なやし」と「くろめ」を行って精製したものが、塗料として工芸品に使われるわけです。
漆が他の塗料と比べて優れている点は、水・熱・酸・アルカリに対して非常に強いことです。また、
他の塗料と違い、漆が乾くというのは空気中の酸素と化学変化を起こして、液体から固体になることですから、
湿度や温度を調節することによって、ある程度乾燥の時間を自由に伸縮できるという点も漆の大きな特徴です。

漆の木の表面に傷をつけ、そこから出てくる乳白色の樹液を採取したものが漆液の元になります。
この漆液をろ過し、木の皮などの取り除いたものを「生漆(きうるし)」と呼びます。
これが一般的な漆の元になるもので、このままでも摺り漆(すりうるし)として使われます。
漆の木は、日本や中国、東南アジアなどで生育し、以前は日本各地で漆を生産したようですが、
現在では日本で使う漆の90%以上が中国から輸入されたものです。
日本産の漆は希少で価格も高い(中国産の5倍程度)ので、主に神社仏閣の補修などに使われています。
漆は天然のものですから、採取した国や産地により、また採取した年代や時期によって、
漆の成分が異なり、粘度や乾きの早さなどの性質が違ってきます。
それらの性質を把握し、異なる漆を組み合わせるなどして、使用目的にあった適当な漆を作り出すことが
漆を扱うノウハウとなります。