早川尚古斎の詳しい説明と 買取
早川家の当主が代々襲名する名称で、江戸時代末期から一子相伝で竹工芸技法を伝えており、5代続いた。
その工房は京都市北区にある下鴨神社近くにあり、高い竹工芸技術が伝わっている。
「竹割10年」と言われるほど、良い竹ひご(材料)を準備する作業はとても難しく、地下の倉庫に保管してある竹材の表皮や節を削り取り、鉈を使って縦方向に割って1本1本手作業で竹ひごを制作する。
この時に竹ひごの厚みが揃うと曲げた時に綺麗な円になり、早川家ではこの技術もしっかりと受け継いでいる。
初代早川尚古斎(1815年(文化12)~1897年(明治30))
文化12年(1815)福井県鯖江市の生まれで、幼名は藤五郎。
天保4年、19歳のとき父と死別し、京都に出て、籠師の修業を始める。
弘化2年大阪に移り、「尚古斎」と号す。
唐物写し中心の籠の世界に独自の創作性を織り込み、「浪華の籠師」と称される。
明治10年第1回内国勧業博覧会および内外博覧会で受賞し、皇后陛下直々の御買上の栄に浴した。
明治30年(1897)に、82歳で死去した。
二代早川尚古斎(1860年(安政7)~1905年(明治38))
初代・早川尚古斎の三男で、本名は武次郎。
1897年(明治30)に2代尚古斎を襲名した。
1903年(明治36)の第五回内国勧業博覧会で二等受賞した。
襲名の8年後、45歳で逝去したため制作期間が短く、作品も少ない。
三代早川尚古斎(1864年(元治元)~1922年(大正11))
初代・早川尚古斎の五男として、大阪に生まれる。本名は栄三郎。
父に技術を学び、尚斎の号を用いて東京で活動していたが、1905(明治38)年に実兄の二代尚古斎が没したのを機に、大阪に戻り、三代尚古斎を襲名した。
1878年(明治11)パリの万国博覧会で、鳳紋賞を受賞し、その後も国内外の博覧会で様々な栄誉に輝いた。
1887年(明治20)には、天覧、御買上に栄誉を受ける。
1919年(大正8)に「浪華籃友会」の結成に参加、大阪竹工芸界をリードし、近代竹工芸における象徴的存在となった。
特に着色に苦心し、自由な表現の荒編みなどに卓越し、竹籠の技を美術工芸の分野まで引き上げ、その名を高める。
自由奔放な作風で知られ、さらには、造形的調和を重視しながら個人作家としての制作姿勢に徹した。
大阪工芸協会会員をつとめ、1922年(大正11)7月に死去した、59歳。
四代早川尚古斎(1902年(明治35)~1975年(昭和50))
三代・尚古斎の男子として明治35年(1902)生まれる。
竹芸会理事長となり、日展で入選を果たす。
昭和50年(1975)死去、73歳。
五代早川尚古斎(1932年(昭和7)~2011年(平成23))
四代・早川 尚古斎の長男として、大阪に生まれ、のち京都に移転する。
本名は修平、印名は「尚篁」 「尚古斎」「五世竹工尚古斎」「修」など。
1951年(昭和26)には、父・4代尚古斎に師事し、尚坡または尚篁と号するようになった。
1965年(昭和40)には、早川尚篁として大坂三越で初個展を開催、竹工芸家としてデビューした。
その際、釜師で人間国宝の角谷一圭との知遇を得、才能を認められ、その翌年より日本伝統工芸会展に出品した。
代々家に伝わる技法の編技法と組技法を使い分けて作品を制作し、切込透文様という幅の広い竹材を部分的に切り込むことで文様を作り出す、5代目考案の技法を使うなど幅広い作風が高く評価された。
また、日本文化を海外に紹介する活動を行っており、アメリカで個展や講習会を開き、イギリスの大英博物館では展覧会を行った。
1966年(昭和41)の初出品・初入選以降、毎年入選を重ねる。
1968年(昭和43)に日本工芸会正会員、1976年(昭和46)には日本伝統工芸展日本工芸会奨励賞を受賞する。
1977年(昭和47)父の逝去に伴い、5代尚古斎を襲名した。
1992年(平成4)京都府無形文化財「竹工芸」保持者の認定される。
1996年(平成8)日本伝統工芸展日本工芸会保持者賞の優秀賞、2002年(平成14)京都府文化賞功労賞などの受賞した。
2003年(平成15)重要無形文化財「竹工芸」保持者(人間国宝)に認定される。
2011年(平成23)12月7日に死去。79歳。
早川家の伝統的なスタイルを保つとともに、組技法による新しい創意を加えた制作を続け、組みの技法に高い評価を得ている。
精緻な編みや自在な荒編みなど編組技法を手がけ、伝統と創作をテーマに竹という素材の持つ生命力を生かし、 清楚でありながらも重厚な力強さを表現した竹工芸品を多く残しており、現代的な作品を展開している。
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